「ヒロ……!」


さすが保育園からの親友!

セイヤも保育園からだけど。


実はおれらは、幼なじみだったりする。


「アスカ様の顎(あご)がすごいのはわかった。うん。信じてるから。超興味そそられます」

「……は?」

「おれも、アスカ様に会ってみたいにゃぁ〜」


ヒロは思わず殴りたくなるくらいのニヤニヤ顔を浮かべ、おれを見た。


……なんかコイツ、楽しんでねぇ?

おれは真剣に悩んでるっていうのに……。


14年の友情が、淡くちっぽけなものに思えた。


てか『信じてる』って……

そこだけかよ!!


「ねぇねぇ。アスカ様の写メ送ってよ〜」

「ぜってぇやだ」

「えぇ〜……お願い、ユッチィ〜♪」


──ガタァンッ!!


おれの座っていた椅子が床の上で派手な音をたて、倒れた。


立っているおれに、教室中の視線が集中する。


……ヤベ。

ついつい、拒否反応してしまった。


思い出す、昨日の恐怖……。


おれは椅子を立て直し座ると、声のボリュームを下げて言った。


「……冗談でも、もう二度とそのあだ名で呼ぶんじゃねぇ」