―やっと言ってくれた。

涼が呟いて私を見た。

え??と首を傾げると,微笑んで首を振った。

『もう離してって言っても離してやんないからな。仮にいなくなっても,世界中探してやる。』

そう言って私の手を引いて歩き出した。

久しぶりに涼と並んで歩き出すと,さっきと同じ景色なのにキラキラして見えた。

…すると,あ!と言って涼が足を止めて手を離した。

「え…なに…??」

不安になって顔を上げると,私の手からマフラーを取ってニコニコしていた。

『寒いから。』

と私の首にマフラーぐるぐる巻きにしてくれた。

『やっぱ似合うね,そのマフラー。』

と髪をくしゃっと撫でる。

お礼を言うと,満足気に笑い,再び手をつないで歩き出した。

もう逃げるのは止めよう。

何かあっても,離れないで話し合おう。

3年経っても私を見つけてくれた,この人を信じていきたいから。

この赤いマフラーを巻いて。


END...