マキトはぶっきらぼうだが、しっかりしていた。

自分のことは自分でやるし、他人への干渉も少ない。

私も私で似たようなもの、バンドのリーダーという立場でもなければ、

自ら仕切り役など買って出るわけがない。

マキトは時々こう言っていた。

「ユキはいい女なんだけど、俺が甘えるのを許さないだろ、だから、長持ちしないね」

そういうとき、いつもアタシはこう答えていた。

「アンタが女に甘えるクチ?女が自分に甘えるのだって嫌がりそうなのに」

そういうとき、いつもマキトは苦笑するだけだった。