わたしは、何とか彼らのテーブルを見つけて、一緒に席に着いた。
 すっかりリラックスして、慣れた風にビールをオーダーする彼ら。わたしは、オレンジジュースをオーダーして、そして、小さくなって、そこに座っている。何か、来たことを、思い切り後悔。
 ここは、まるで、ストリップ・バー。お立ち台が中央にあって、そこのスチールの棒につかまりながら、下着姿の女性たちがくねくねしたり、している。今まで、映画の中だけでしかそんな光景を見たことがなかったので、実際に目にしてみると、わたしにとっては、少し、ヘビーだ。ウエイトレスとして働いている女の子達も、かなり刺激的な衣装を着て、胸に番号をつけている。お客の隣に座っている子も居る。しかも、怪し気な雰囲気。
 一気に、気持ちがどん底。
「……ねぇ、ここって……」
 おずおずとそう言うと、一人の男の子、ケイゴに、あっさり、
「ああ、女の子を買う場所でもあるみたい」
 と言われてしまった。
「もしかして、お姉さん、初めて?」
 もう一人の男の子、カイジが、ケケケケっと笑いながら、言う。
 頷くわたし。
 んじゃぁ、キツいかもね、と、少し同情気味な表情で、一同頷いた。
 彼らはもう何度か来ているらしく、盛り上がり方さえ心得ているようだ。
 何番の子が可愛いとか、あのお客はどの子を狙ってるに違いないとか、そんな風に盛り上がっているのだ。そんなの、わたしにしてみたら、全然興味がないし、どうだって良かった。
 むしろ、できれば興味本位でも、関わりたくない世界だった。
 潔癖と言われれば、そうなのかも。
 わたしは、溜め息をついて、いつここから出ようかと考え始めた。
 と、よりによってそんなタイミングで、飲み物が運ばれてきて、皆で乾杯をした。おかげで、また少し、ここを抜け出すのが遅くなってしまいそう。
 その時、斜め前にある席に、新しく、お客が入ってきて、ドサッと座り込んだ。5、6人は掛けられるであろう丸いテーブル。椅子も、4つほど置いてある。たった一人で、そこに座ったのだ。ちらと見て、わたしは、思わず息を呑んだ。