「皆、その像を大事にしてる。昔、戦争があって、王様が死んだ。島がビルマに攻め落とされそうになったとき、王様の奥さんと、その妹が、兵を率いて戦ってくれた。それで、今のプーケットがある。だから、とてもとても大事」
わたしは、彼が真面目な話をしている最中なのに、思わず笑ってしまいそうになって、頬の内側を噛んだ。
だって、ここはプロンテープ岬の突端で、かなり登ったところに居るので、見晴らしも良く、殆ど、ぐるりと水平線に囲まれたような景色。そして、その空に浮かぶ、蕩けそうな太陽が、じわじわと、その水面へと落ちて行こうとしているのだ。
周りのカップル達は、じぃっと、息をひそめてその光景を見詰めている。
空も、刻一刻と色を変え、空だけではなく、それに呼応するかのように、水面も、その表情をコロコロと変えて行く。その素晴らしいことといったら、息が止まりそうなほど、胸を打つものだった。
それなのに、彼は、まだ、真面目に信仰の話を続けている。
もちろん、信仰は大事だし、興味深いエピソードもたくさんあるだろうし、聞きたいと思う。でも、こんなロマンチックな場面で、念仏のように話されると、気分が出ない。うっとりとするところのはずなのに、シリアスな気持ちになってくる。
けれど、ーーと、少し思い直して、わたしは、そんなシリアスな気持ちに浸ることにした。もう、夕陽は半分水に浸かっている。燃えているようなその太陽は、水面をも焦がしながら、ずぶずぶと潜って行く。空には、火の玉のような尾っぽが見えるようだった。落ちるに従って、その尾っぽもまた形を変えながら、太陽にくっついて、水の下へと消えて行く。
静かな、神妙な気持ちで、そんな光景を見詰めていたら、何だか、急に、喉元に熱いものが、こみ上げてきた。
わたしは、彼が真面目な話をしている最中なのに、思わず笑ってしまいそうになって、頬の内側を噛んだ。
だって、ここはプロンテープ岬の突端で、かなり登ったところに居るので、見晴らしも良く、殆ど、ぐるりと水平線に囲まれたような景色。そして、その空に浮かぶ、蕩けそうな太陽が、じわじわと、その水面へと落ちて行こうとしているのだ。
周りのカップル達は、じぃっと、息をひそめてその光景を見詰めている。
空も、刻一刻と色を変え、空だけではなく、それに呼応するかのように、水面も、その表情をコロコロと変えて行く。その素晴らしいことといったら、息が止まりそうなほど、胸を打つものだった。
それなのに、彼は、まだ、真面目に信仰の話を続けている。
もちろん、信仰は大事だし、興味深いエピソードもたくさんあるだろうし、聞きたいと思う。でも、こんなロマンチックな場面で、念仏のように話されると、気分が出ない。うっとりとするところのはずなのに、シリアスな気持ちになってくる。
けれど、ーーと、少し思い直して、わたしは、そんなシリアスな気持ちに浸ることにした。もう、夕陽は半分水に浸かっている。燃えているようなその太陽は、水面をも焦がしながら、ずぶずぶと潜って行く。空には、火の玉のような尾っぽが見えるようだった。落ちるに従って、その尾っぽもまた形を変えながら、太陽にくっついて、水の下へと消えて行く。
静かな、神妙な気持ちで、そんな光景を見詰めていたら、何だか、急に、喉元に熱いものが、こみ上げてきた。

