「フロントデスクです。コダチ・ウイコさまですね?」
「……はい」
流暢な日本語。きっと、フロントに常駐している日本人スタッフなのだろう。
「あの、もしよろしければ、ですが、ホテルのオプショナルツアーに空きができまして、コダチさまはまだ何もご参加戴いていないようですので、ちょっと、お試しに、いかがかな、と思いまして。折角のご滞在ですし、当ホテル自慢のツアーコースも体験していただかないと……」
言っている内容は、まるで押し売りのようだけれど、彼女の柔らかな言い方と間に挟まれる微笑みのおかげで、全然嫌な感じはしなかった。ええ、と、わたしは相づちを打った。
「それが、本日夕方からのツアーで、夕陽を見るなら島一番のスポット、プロンテープ岬でのディナーなんです。もちろん送迎付きで、夕食はオープンエアのレストランでのシーフードです。その後は、もしご希望なら、パトンの街に寄ることもできます。その場合は、お帰りは、最終が深夜1時のホテルへのシャトルバスをご利用になるか、ご自身で足を確保なさらないといけなくなってしまうのですが」
「……わかりました。参加させてください」
さっきまで、あんなに怠かったというのに、いつの間にか、わたしは断然行く気になっていた。ちょうど、気分転換もしたいと思っていたし、このままで居ると、今夜の夕食は、抜いてしまいそうで、少し心配にもなっていたのだ。それに、夕方からというプランだということも、惹かれた理由だ。夕方まで、十分のんびりする時間がありそうだから。
受話器を置いて、わたしは、"don't disterb"(起こさないでください)の札をドアノブに掛けに行くと、すぐにベッドに潜り込んで、そして、いつの間にか、また眠ってしまった。
「……はい」
流暢な日本語。きっと、フロントに常駐している日本人スタッフなのだろう。
「あの、もしよろしければ、ですが、ホテルのオプショナルツアーに空きができまして、コダチさまはまだ何もご参加戴いていないようですので、ちょっと、お試しに、いかがかな、と思いまして。折角のご滞在ですし、当ホテル自慢のツアーコースも体験していただかないと……」
言っている内容は、まるで押し売りのようだけれど、彼女の柔らかな言い方と間に挟まれる微笑みのおかげで、全然嫌な感じはしなかった。ええ、と、わたしは相づちを打った。
「それが、本日夕方からのツアーで、夕陽を見るなら島一番のスポット、プロンテープ岬でのディナーなんです。もちろん送迎付きで、夕食はオープンエアのレストランでのシーフードです。その後は、もしご希望なら、パトンの街に寄ることもできます。その場合は、お帰りは、最終が深夜1時のホテルへのシャトルバスをご利用になるか、ご自身で足を確保なさらないといけなくなってしまうのですが」
「……わかりました。参加させてください」
さっきまで、あんなに怠かったというのに、いつの間にか、わたしは断然行く気になっていた。ちょうど、気分転換もしたいと思っていたし、このままで居ると、今夜の夕食は、抜いてしまいそうで、少し心配にもなっていたのだ。それに、夕方からというプランだということも、惹かれた理由だ。夕方まで、十分のんびりする時間がありそうだから。
受話器を置いて、わたしは、"don't disterb"(起こさないでください)の札をドアノブに掛けに行くと、すぐにベッドに潜り込んで、そして、いつの間にか、また眠ってしまった。

