けれどおかげで、はっきり自覚できた。僕は、ウイコが好きなのだ。それも、かなり。
 どうりで、始めから、彼女にこだわっていたわけだ。
 今の今まで、自分で自分の気持ちに気付かないなんて、と、少し自虐的な気持ちになって、ジルは、外したタイをベッドの方へ放り投げた。けれど、降りたままの蚊帳に跳ね返されて、床に落ちる。
 じっとそのまま、蚊帳の中を見ていたら、さっきの自分達が見えてくるような気がした。ただ身体を重ね合わせたままの、自分達が。しかもその二つの影は、しばらくすると、頭を起こして見詰め合って、唇をも重ね合った。実際には、無かった場面……。思わず頬に朱を昇らせて、目を反らすと、さっきまで見詰めていたドアを、ノックする音が聞こえた。