君代ちゃんは本当にいい子で、
もうしちゃってるなんて信じられないくらい、幼いかわいらしさがあった。


可愛いのは性格だけではなかった。
優しい目付きや形のいい口元、ほんわかとした声に
同性の私でさえ、ドキドキする。
それに胸。
私は胸が薄いのがコンプレックスだが、それでも
こんなに大きいのはちょっと困るのでは?と思うほど。

…花巻くんはそんなそぶりは見せなかったけど、巨乳好きだったわけね。

華奢な四肢も、愛おしげな顔立ちも、可愛いばかりの彼女の中で、胸だけが生々しい。


…それともやっぱりヤキモチ?


「紀子さん、綺麗だよねぇ」

うっとりしたように君代ちゃんに言われ、我に返った。

「そんなこと…」

「あるよ、こんな綺麗なものに囲まれて育ったからかなぁ」

君代ちゃんは羨ましそうに、部屋を見回した。

「君代んちは、本当に普通なんだもん」

「…失礼だけど、君代ちゃんち、ご両親揃ってるよね?」

「うん。気味悪いほど仲良しで、マジ止めてって感じ」

「…私…父を亡くしてるの」

「…ご、ごめんなさい」

驚いてペコペコしだした君代ちゃん。

こんなに素直でストレートな子だから、
花巻くん、好きになったんだね。


ホロッと涙がこぼれた。