「―――…ちゃん……、ユキちゃん…ッッ」


「……………へ……?」


ガシャンッッ――という音とともに、倒れ込んだコップからお茶がこぼれる。


「あーあー何やってんのよ〜」


慌ててチアキちゃんがフキンを持ってきてくれた。


「ご、ごめん……」


わたしが素直に謝ってテーブルの上を拭き始めると、チアキちゃんは意地悪そうに笑った。


「嶋村さん、最近来ないもんね〜?気になってるんでしょ〜」


内心ギクリとしたが、顔にはださないように注意する。


「そんなんじゃないよ。ちょっとボーッとしてただけ」


…注意したつもりなのに、言い訳がましく早口になってしまう。


「あーやしーなー…。だってユキちゃんこの間のイベントのこと、全然教えてくれないんだもーん」


「だ、だから、美味しいケーキ食べただけだって…!!」


実際、わたしのしたことはそれだけだ。