「おーい。奈津美。そろそろ起きないと遅刻するぞ」


電話の向こうで大輔が奈津美を起こしている声が聞こえる。


「奈津美。起きろって」


このとき、麻里子はふと嫌な予感がした。


さっき目にしたものが頭をよぎる。


まさか……?


いや、だって隣にいるって。


……隣に“いる”?


「ダメだ。奈津美、起きねぇや。いつもはこんなに寝起き悪くないのに」


そういって電話の向こうで笑っている大輔。


「あ、ごめん。いったん電話切るね」


「えっ? あ……お、おう。じゃあ、またな」


大輔の戸惑った声。


だが麻里子はすぐに電話を切った。


その瞬間、ガタガタと体が震える。