彩を乗せたエレベーターは静かに上の階へと動き始めた。


エレベーター内の蛍光灯が切れかかっているのか、パカパカと不規則に点滅している。


誰もいない四角い個室のなかに閉じ込められているみたいで、なんだかふと怖くなった。


彩はゴクリと唾を飲み込むと、誰もいないはずの後ろをそっと振り返った。


誰もいない……よね。


当たり前か。


エレベーターに乗るときひとりだったんだから。


でもそんなことにほっとしてしまうほど、いまの彩の神経はピリピリとしていた。