彩は再びエレベーターのほうに目を向けた。


……7……6……5……


まだ来ない。


でもあと少し。


彩はチラリと腕時計に目をやった。


時枝絵里香のお墓で麻里子たちと別れてから、もう1時間がたとうとしている。


今日一日いろんなことがありすぎて、こんなふうに時間を確認することはなかった。


だから「もうこんな時間か」と思うと、どっと疲れが押し寄せてくる。


彩はもう一度ため息を吐いた。


頭をよぎるのはあのことばかり。


いまでも信じられない。


今日だけで、2人もクラスメイトが死んだ話を聞くなんて。