△▼の部分がオレンジに変わり、最上階に止まっていたエレベーターがゆっくりと下に降りてくる。


12……11……10……


変わっていく数字を彩はぼんやり眺めていた。


普段あまり意識してないから遅く感じる。


彩はふと辺りを見渡した。


誰もいない。


誰かが来る気配もない。


聞こえるのはエレベーターが下に降りてくる機会的な音と、外から聞こえる雨の音だけ。


それ以外の音は存在しない、静かな時間だった。