いったい、彼女があたしたちにどれほどの怨みをもっていたことだろう。


自分たちのしたことに気付いたときには、もう遅かった。


麻里子だけじゃなく、誰もが自分は無関係だって思いたかった。


そんなとき、加藤明が言った。


「二度と時枝の名前を口に出すな」


自分のしてしまったことが怖かった麻里子たちは、クラス全員でその約束を交わした。


もう二度と過去を振り返らないように……


もう二度と、彼女のことを思い出さないように……


時枝絵里香の名前を口に出さないことで、麻里子たちは過去を封印した。