「や、やめてよ。そんなわけないじゃん。だってあたし、ちゃんと“32名”で予約したもん」


すぐさま今回の幹事である加奈子が反論した。


しかし、元木彩はその答えでは納得せず、確認するように加奈子に聞いた。


「ほんとに? 予約の人数、間違えたりしてない?」


「間違えてなんかないわよ。貸切でお願いしてるんだから、人数の確認なんて何度もしたわよ」


「じゃあ、あの席は?」


「だから言ってるじゃない。お店の人が間違えたんでしょ」


「ほんとにそう思ってる?」


「どういう意味?」


「手……震えてるよ?」


「!!」


元木彩の言うとおり、加奈子の手はガタガタと震えていた。


必死に止めようと、もう片方の手で押さえ付けるが、震えが止まらない。


彼女たちの話に一番動揺しているのは、今回店を予約した加奈子だった。