「いったい何があったんだよ? なんで近藤が?」


「おいおい、ちょっと待ってよ。少しぐらい休ませてやれよ」


一刻も早く状況を確認したい遠藤大輔の気持ちは理解できる。


だか犬飼は警察の聞き取りで疲れている麻里子の精神状態を優先して気遣ってくれた。


状況が知りたいのは何も遠藤大輔だけじゃない。


みんな近藤愛に何があったのか気になっているんだろう。


犬飼は麻里子を気遣って場所を移動しようと提案してくれたが、麻里子はそれを断った。


これはいま話さなきゃいけない。


そう思った麻里子は、


昨日あったこと、


そして、今朝あったことを、


一つ一つみんなに話した。


だけど、昨夜金縛りにあったこと、今朝のお風呂場でのことに関しては、言わなかった。


あれが現実だったのか、それとも恐怖が見せた幻覚だったのか、


まだ自分でも整理できていなかったからだ。