「もっちゃん……?」


元木彩の普通じゃない様子に麻里子たちは顔を見合わせる。


だがそんな麻里子たちの心配をよそに、本条ゆかりはゆっくりと口を開いた。


「ひとり……多くない……?」


「え?」


本条ゆかりはそういうと、顔を伏せたまま壁際の席を指差した。


ひとつだけ……ぽっかりと席が空いている。


まるで……


“誰か”が、そこに座っているみたいに……