急に巻き起こった秋風… 持っていた写真が春樹の手から離れて宙を舞う… 追い掛けるように春樹は川に落ちそうになる写真を柵に乗り出して手を伸ばした… 夕日の眩しさに目を細めたその時… あの時の感覚がよみがえった… それは…自分が崖から落ちてゆく瞬間だった… 全身に伝わるあの時の恐怖… 『うあぁ……』 春樹は頭を抱えてひざまづく… 頭の中で次々とフラッシュバックのようによみがえる記憶… 春樹はその場で仰向けに倒れたまま動かない…