『見て…春樹、コート着たらわかんないでしょ?』 『わかんないけど…寒くないか…』 『平気だよ…春樹も一緒だし…』 『よし、行くか…』 外に出ると、ほとんど雨は止んでいた… 『ハイ、春樹、傘持って…』 私は傘を春樹に渡すと、春樹の腕に手を回した 二人寄り添って歩く誰もいない夜の道は、濡れたアスファルトが銀色に光っていて… 二人の吐く息が霧のようで、映画のシーンのようだった… 『なんかいいね…寒いけど…』 『そうか…』