ふぅ、と、ため息をつく。
 いつになったら、止むのだろう。
 考えたって仕方のないことを、考え始める。
 忘れたいことが、あるから。こうやって、くだらないことに、思考を費やす。

 と、また、ほら、左側の空間が、気になってくる。
 思い出しちゃった。
 左側の、空間。
 つまり、助手席。
 本当なら、今、そこに、座るべき人物が居た。
 女友達?
 ううん、恋人。
 ……というか、元、恋人。
 恋人だった人。つい、さっきまで、恋人だった、人。