そう、その後ろ姿。見覚えがあった。
 
 思い出した!
 そう、見間違うわけがない。

 そのとき。 
 稲妻が連続して光り、目の前のテールランプも、遠ざかり始めた。
 わたしは、慌てて向き直ると、また運転を始めながら、彼が気になって。
 突然、この渋滞が、歯痒くなる。
 ……あの後ろ姿に、追いつきたい。
 けれど、追い抜いて、離れすぎたくもない。
 とにかく、彼が、本当に、あの人なのか、確かめたいよ。