泣きたくても涙が出ない。



どうしてか、わからない。



ねぇ…



あたしはどうしたらいい?



あたしに…
何が出来るの?



問いかけた先には、たくさんの機械に繋がれた憲介の姿がある。



ICU
集中治療室。



あたしは今、志帆さんと一緒にここにいた。



葛城先生は、みんなに状況を伝える為に、一旦学校に帰って行った。



「穂波ちゃん…」



ここに来て、あたしは現実を目の当たりにした。



状況は
良くない方向に向かってる。



それを物語るような憲介の姿が、余計に辛い。



「何ですか…?」



「憲介は…もう前みたいには戻らないのかな?」



志帆さんは、さっきの人が言ったことを気にしているんだ…



「そんなことない…」



それだけしか言えないあたしが、今は嫌いだ。