「どうした…?」



泣きじゃくるあたしの背中を、優しく擦ってくれる池澤の手は暖かい…



「突然泣いたらびっくりするだろ…何か嫌なことでも思い出した?」



「…っ、あの…ね…」



「なに?ゆっくりでいいから、落ち着いて話してみ?」



赤ちゃんを寝かし付ける時みたいに、一定のリズムであたしの背中を軽く叩きながら池澤は言った。



「中…学の時…」



「中学…?」



「…っ…うん。あたし…学校サボって…遊んでた…の。」



「…うん、それで?」



池澤は余計なことを聞かずに、ずっとあたしが落ち着けるように背中を軽く叩いてくれていた。



そのおかげか、だんだん泣き止んできたあたし。



「その時…不良と絡んでたんだ…家でも学校でも居場所なくて、辛かったから…」



お母さんともわかり合えずに、あたしは夜な夜な遊び回ってた。



「その時会ったのが…侑隼って子だったの…」