君に届け




「それに…


お前も…いるんだろ?」



その言葉の意味はわかんないけど、池澤はまたあたしに笑顔を向ける。



「うん…」



とりあえず頷いておくことにした。



「入学式…1時間ちょっとあるみたいだけど、どうする?」



どうするって…



ここにいる限り、今更戻ることも出来ないし…



「お前は話嫌いみたいだし…だからって黙ってるのも変だし…」



池澤は辺りを見回し始め、何かを探している。



「…あっ!それだ!!」



何かを見つけた池澤は、それに指を差した。



「…?」



指が差しているものは…
あたしの手元。



携帯─