「クリスマスはなんか予定入れてるんか?」



私の部屋。

二人で鍋をつついていた。私があげたネクタイを緩めながら独り言の様に彼が言う。

あまりに唐突で、答えに困った。


友達に、好きなアーティストのライブに誘われてはいた。玄さんの予定を聞けずにいたせいもあって、友達にはまだ返事を濁したままだった。
何より「家族と過ごす」と言われるのが怖くて聞けなかった。

「友達とパーティーとか?」

慌てて首を振った。
「…玄さんは?………大阪とか…」

思い切って聞いた。

「平日やしな。別になんも」

「……」 また、言葉に詰まる。