それは、夏の暑い夜のことだった。

満月は、ものうげな表情で夜空にぽっかり浮かんでいた。

居場所のないノラ猫達は、目をギラつかせて僕を睨んでいる。

いつもの散歩道で見なれているはずの光景なのに、不思議な違和感を覚えてしまう。

なぜだろう。

まるで、ここは異世界のようだ。