ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜


「……ぅ」




気付いたら、私は再び号泣していた。




「マユコ…?」




ウシオがグラスをテーブルに置いて、身をのり出すように私の顔を覗き込んだ。




私はテーブルの上に突っ伏して、まだ彼に言ってなかったことを話した。




「……だ」


「え…?」


「トモシにね、子供がいたんだ…」


「え…?」


「いないって言ってたのに、ホントはいたんだ、子供が…」


「…マジで?」




私はゆっくりうなずいた。




「今朝彼の勤め先に電話してわかったんだけど、トモシが今日来れなくなったのは、彼の子供が急に熱出したからみたいなんだ…。本人からは仕事で行けなくなったってメールがきたんだけど…」


「……」


「ごめん…。それ聞いたら私、なんだか自分が惨めになってさ…。子供がいないって嘘つかれてたのもショックだけど、旅行に行けなくなった理由まで仕事だって嘘つかれて、結局トモシとは信頼関係ができてなかったんだとか思ったら、なんか悲しくなっちゃって…」


「……」