テーブルを挟んで向かい合い、ふたりで冷蔵庫にあったビールを何本か開けていたときのこと。
すっかり酔っ払ったウシオが、バッグの中からデジカメを取り出してきた。
「せっかくだから一緒に写真でも撮らない?」
「え…?」
「いいだろ?」
ウシオはカメラの電源を入れ、ニタニタと笑った。
「写真かあ…」
考えてみれば、
カメラなんて他人に向けることがあっても、自分に向けられることはあまりなかった。
それほど写真に興味もない。
それに、もう化粧も落としていた。
「どうしようかな…」
しぶる私に、
「1枚くらいいいだろ…?どーせ減るもんじゃないし」
ウシオはそう言った。
「そうだね…」
私も少し酔っていたのかもしれない。
いつの間にか私の右隣に座っていた彼に、
「いいよ。撮ろう」
そう答えていた。
「よっしゃ…!」
ウシオは子供みたいに喜んで、
カメラを持った右腕を思いっきり前に伸ばすと、
そのレンズに私達が入るようシャッターボタンを押した。

