ウシオにドキドキする必要は全然ないんだと自分に言い聞かせながら、
私はのぼせる前にさっさと風呂を出た。
浴衣に着替えて、部屋に戻る。
ウシオに浴衣姿を見せるなんて、なんだか恥ずかしかったけど、それについてはあまり気にしないことにした。
部屋に入ると、
同じく浴衣に着替えたウシオが、テレビを見ながら畳の上で寝そべっていた。
「へー。そういうのも似合うじゃん」
そう目を細める彼を、
「ほめてもらっても何も出ないよ」
私はいつもの調子で交わしてみた。
「んなことわかってるよ…。じゃ、俺も風呂行ってくるから」
ウシオはそう言って、タオルを片手にゆっくり部屋を出て行った。
…私は胸を撫で下ろした。
よかった…。
ウシオだって、結局いつものウシオじゃん…。
そう…、
別にふたりっきりになるからって、変に意識することないんだ…。
…そんなふうに考えて、
夕食の時間も、私は普段どおり彼に接することにした。

