そんなわけで、
結局私は温泉街を一望できる部屋で、ウシオと一晩共に過ごすことになった。
窓の外の夕日を眺めながら「へー。結構いい部屋じゃん」と言うウシオに適当な相槌を打ちながら、
私は胸をドキドキさせていた。
ウシオとはもう長い付き合いになる。
彼を相手に今更何を緊張する必要があるというのだろう。
それでも彼とこれから同じ部屋で寝るのかと思うと、いてもたってもいられない気分だった。
「茶でも飲むか」
そう言ってくつろぎ始めたウシオを無視し、
私はクローゼットから浴衣とタオルを取り出した。
「ちょっとお風呂に入ってくるね」
そう言いながら、急いで部屋を出た。
…そうでもしないと、
ふたりの間に流れる空気に息ができなくなりそうだった。

