なんだか急にみじめになった。
私は言いようのない悲しみに打ちひしがれながら、再び腕時計に目をやった。
新幹線の発車時刻まであと数分。
やはりトモシが来る気配はない。
かわいい我が子が病気とくれば、親として出かけるわけにもいかないよね…。
残念だけど、旅行は中止か…。
でも、
切符は払い戻してもらうとしても、旅館のキャンセルはどうしよう。
とりあえず旅行社か旅館に電話を入れた方がいいよね…?
私は携帯電話を手に取った。
…が、
ボタンを押すのがどうしてもためらわれる。
心のどこかでまだトモシが来てくれるのを期待してるのかもしれないけど、
すごく楽しみにしてた旅行をこんなふうにあきらめなきゃいけないなんて、
どうしても納得できない。

