「あの…、ちょっとカゲウラさんに急用でお電話したんですけど、携帯にかけてもつながらないんです…。すみませんが、今日の彼の動静とかご存知ないですか…?」
私は図々しいのを承知で男に聞いてみた。
〈そうですね…〉
男が困惑気味にそう言うと、
後ろで別の男性が男に向かって何か話している声が聞こえた。
何を話しているのだろうと思っていると、少しして男が電話口でまた口を開いた。
〈もしもし〉
「あ…、はい…」
〈カゲウラですが、なんかお子さんが急に熱を出されたみたいで、今朝勤務が終わると同時に、急いで帰宅したみたいなんですよ…〉
え…?
“お子さん”…?

