〈…はい、××市消防本部××です〉
若い男性が電話に出たが、トモシではなかった。
「あ…、すみません…。カゲウラさんお願いしたいんですが…」
〈カゲウラですね、少々お待ちください…〉
しばらく耳にうるさい保留音を聴かされ、
再び電話がつながったと思うと、
聴こえてきたのはさっきの男の声だった。
〈申し訳ありません、カゲウラは本日勤務を外れておりまして…〉
え…?
急に火事が起きて、それで現場に行ってるとかじゃないの…?
とっさにそれを言葉にしたが、
男は「今日はまだ火事の報告は受けていません、カゲウラは朝から非番です」と言う。
ますますわけがわからない…。
仕事じゃないなら、そろそろこっちに着いてもいいはずなのに…。

