「どこ?」
「××温泉だってさ」
「へー」
「いいなあ…。私もたまには温泉とか行って、ゆっくりしたいなあ…」
「何、急に…?」
「だってさ…、考えてみたら私、働いてから温泉に泊まりに行ったことってないんだもん…」
「そうなの?」
「うん…。そんな暇ないくらい忙しいし、夏休みとか冬休みだって学校に行かなきゃならないし、土日は土日で演劇があるでしょ…?そんなんでいつ行けるって言うのよ…?」
少し愚痴っぽく言うと、
トモシが私の横にしゃがみこんで来た。
「あのさ」
「ん?」
「マユコは忙しい忙しいって言って、自分から時間を作ろうとしてないだけじゃないの…?」
「え…?」
「忙しいときでも、時間なんて作ろうと思えば作れるもんだと思うんだけど…、それをマユコは怠ってるだけじゃない…?」

