ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜


久々にトモシと会った日。


私はいつものように劇団を休み、狭い部屋に彼を迎え入れ、


ほんのひととき彼に体を与えた。






事が終わりトモシがバスルームに行くと、


例のごとく、またなんともいえない虚しさやさみしさに襲われた。






静まり返った部屋。



その沈黙に耐え切れなくなった私は、ベッドから下りてリモコンをつかむと、テレビのスイッチを入れた。








…すると、


たまたま映ったブラウン管の向こうには、ありがちな旅番組が映し出されていた。


芸能人が観光名所を回って温泉に入り、ご馳走を食べてそれをレポートするという、実に羨ましい番組だ。




そういえば、就職してから温泉に泊まりに行くなんて機会、全然なかったな…。






そう思いながら再びテレビをぼーっと眺めていると、


いつの間にか着替えを済ませたトモシが戻って来て言った。




「何…?温泉…?」


「うん…」