「勘違いしないでよね…。私はあんたとデートしてるつもりはないんだから…!」
私がごくごくとビールを飲み始めると、
ウシオは床に落ちたおてふきを拾いながら言った。
「ごめん…、これがデートじゃないことくらい十分承知してるよ」
「…どうだか」
私は苛立ちを露にした。
「ホントだって…。今日は俺、ホントにマユコの愚痴を聞いてやろうと思って来てるんだから…」
「え…っ」
その言葉に、私のジョッキを握る手が止まった。
「マユコ、そんなにチョイ役にされたこと嫌だったわけ…?」
「……」
「あ…、もしかしてガンさんに何か言われたりした…?」
「……」
何も言えなかった。
「言えよ…。俺、どんなことでも聞いてやるからさ…?」
ウシオの顔はマジだった。

