「だってサキの父ちゃん、かなり権力あるみたいだぜ…?人事権だってすごいの持ってるに決まってるって」
「そうかなあ…」
「そうに決まってるって…。あ…、もしかすると娘の恋路を邪魔したってことで、マユコも報復人事にあうかもよ?」
「えー、何それ…?!そんなの絶対困るんだけど…!」
冗談にも取れる発言に、思わず彼を見上げると、
「仕方ない…。じゃあふたりで島流しにされるか」
ウシオはそう言って苦笑いした。
彼が何を考えているのかわからなかったけど、
その目はなぜか悲しそうに見えて、
「何言ってんの…?私、島流しなんて絶対に嫌だからね…!」
私はウシオの腕をたたいて、彼が発する重い空気を壊そうとした。
なんとか彼の気持ちを切り替えさせなければと思い、
「ほら…!急がないと稽古に遅れちゃうよ…?!」
結局私は稽古場へと足を向けていた。

