鏡の前で化粧を直した後、私は嘘をつきながら席に戻った。
「ごめんなさい。電話、劇団の連絡網だったんです…。次の人にも回さなきゃいけなくてちょっと遅くなりました」
「そういえば今日は劇団の活動日でしたよね。長々と引き止めちゃってごめんなさい」
サキさんも私に謝った。
「いえ、劇の練習は午後からなんでいいんです…。それより2次会幹事の話ですけど…」
「え…?」
私の言葉にサキさんは一瞬真顔になったけど、すぐに笑顔を見せて言った。
「ああ…。その話ですけど、マユコさんもお忙しいでしょうし、無理ならやっぱり断ってくれて構わないですよ」
そう言った恋敵に、こちらも精一杯笑ってみせる。
「いえ、無理じゃありません…。ウシオの友達として、ぜひやらせてください」
それは本心から出た言葉じゃなかったけど、
一応そう言って、テーブルの上に置かれていた招待客リストを手に取った。
もう意地というか自棄だった。

