「あ…、ちょっとごめんなさい…」
私はバッグをつかむと、急いでトイレへ駆け込んだ。
洗面台の前で携帯を開くと、そこにはウシオの名前があった。
こんなときに電話してくるなんて、ウシオもホントタイミングの悪い男だよね…。
しぶしぶ通話ボタンを押す。
「もしもし…?」
〈あ、マユコ…?〉
いつもの明るい声がした。
「何…?」
とりあえず用件を聞く。
〈あのさ、今日マユコ芝居の稽古に行くだろ?〉
「うん、そのつもりだけど…」
〈だったら稽古場まで一緒に行かないかなって思ったんだけど…〉
「え…?」
〈今からお前んち行くから、エッチしてから一緒に行かない?〉
こっちの状況も知らないウシオは、脳天気にそんなことを言った。

