サキさんと待ち合わせたのは、劇団の稽古場近くにあるカフェレストランだった。
彼女に会うことはウシオには黙っていた。
午後にはこのまま稽古場に向かおうと思っていたので、
私はジャージや台本の入ったバッグを提げて、約束の時間きっかりに店に行った。
中に入ると、サキさんは奥の席で私が来るのを待っていた。
「お待たせしてすみません」
そう言って彼女の向かいに座ると、
「こっちこそお休みの日にごめんなさい」
サキさんは軽く頭を下げた。
誕生日が来れば32歳とかいう割には、服装とかしゃべり方とか相変わらず可愛らしい人だなと思った。
最初、私達はお昼を食べながら世間話や仕事の話なんかをしていたけど、
食後のコーヒーが運ばれてきた後、急にサキさんが本題に入った。
「あの…、今日マユコさんに来ていただいたのは、結婚式の2次会のことでお話したかったからなんです」
「え…?」
一瞬“結婚式”という言葉にドキッとした。

