何も言わないってことは、 ウシオもやっぱり私と同じことを思ってるのかな…。 そうだよね…。 今更、サキさんとの婚約を白紙に戻すなんてできないよね…。 今更…。 「ごめんね…。じゃあ私帰るから…」 今度こそドアを開けようとした私に、 ウシオはまた信じられないようなことを言った。 「結婚は、しないよ」 「え…?」 思わず彼の顔を見つめると、 ウシオは私を抱きしめて言った。 「サキとは別れる…。だからマユコはずっと俺の側にいろよ」