「電話、もう終わったの…?」
「ああ…。悪かったな、待たせちゃって」
「別にいいよ…。私もう帰るし」
彼から目をそらし、再びドアの方を向き直ろうとすると、
ウシオはまた私の両腕をつかんで、こちらの動きを阻んだ。
「だからなんで帰るんだよ?」
「……」
私はまた泣きそうになった。
「あっちに戻ろう?」
ウシオは私の手を引き言った。
「ダメだよ…」
私がそこから動かずにいると、
ウシオは再び私の名を呼んだ。
「マユコ…?」
その声は私の耳にとてもやさしく響いて、
違う意味で心に深く突き刺さった。
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