図星を指されへこんでいると、
「俺さ…、マユコが不倫してるって聞いて、マユコはもっと悪女なのかと思ってたんだ…。けどそうじゃないんだな」
ウシオは両手を頭の下で組み、あおむけの姿勢でそう言った。
「……」
何言ってんの…。
婚約者がいる男とこんなところへ来る私なんて、
めちゃくちゃ悪女じゃない…。
そう思ったけど私はそれを口にせず、代わりにこう言った。
「そっか…。じゃあ私、これからは悪女を卒業して、全うに生きるよう頑張ってみるよ」
するとウシオが首をかしげた。
「全うに生きるって…?」
私はつとめて明るく言った。
「ほら…、道外れの恋はしないって意味だよ…。これからは、奥さんも彼女もいない人を好きになるんだ…」
それは、
自分への誓いというより、単なる強がりに近かった。

