宙に浮いたサンダルは、トモシの顔面へと飛んでいった。
けれど彼がそれをうまくよけたので、
サンダルはトモシにかすりもせず、トントントン…と階段の下へ落ちた。
「…もうっ!」
すっかり頭に血が上っていた私は、それを拾うことなくまた部屋に戻ると、
玄関のたたきの上にぺたんとしゃがみこんでしまった。
…自分から始めた恋だったけど、
こんなふうに終わりを迎えることになるなんて、
あまりのバカらしさに、情けなくて涙が出てきた。
なんで今まであいつの本性に気づかず、イイカモになってたんだろう…。
なんで、
なんで…。
あんな男にこれまで気持ちと時間をたくさん使ってきたのかと思うと、
どうしようもないくらい腹ただしかった。
けど…、
トモシに慰めてもらうはずだった私の体は既に疼き始めていて、
あふれた涙が乾きかけた頃、
私は無性にウシオに会いたくなっていた。

