ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜


〈それはわかってるけど、ウシオが他の女にやさしくするのはやっぱり嫌だよ…〉


〈バーカ…。いつも言ってるだろ…?マユコは単なる友達だって…〉




“マユコは単なる友達だって…”




その言葉を聞いたとたん、


私はとっさにドアから離れ、


手にしていた花と紙袋とを楽屋に置かれていた大きなゴミ箱に投げ込んでいた。






そっか…。




あの花束もお菓子も、


ウシオが裏で手を回していたのか…。






確かに私は出番が少なかったら、今公演のことは誰にも話してなかったよ…。




それでなくても花束なんてもらえる役じゃないってわかってたから、


そんなふうに気を回してくれなくてもよかったのに…。






もう…!


ウシオのヤツ、余計なことしてくれて…!






余計傷ついちゃったじゃない…。