「あ、ウシオ…。お疲れ」
そう声をかけると、
ウシオは私が手にしていた花束を見て言った。
「それ、誰からもらったの?」
「ああ…、これね、ウシオの彼女からもらったんだ…。なんかウシオが世話になってるからとか言ってたけど、ホントに受け取っていいのかな…?」
私がそう聞き返したとき、
急に「ウシオ!」と言う声がして、
向こうの方からさっきの彼女が駆けて来るのが見えた。
「あ…」
私は自分が席を外さなきゃいけないような気がして、
ウシオの答えも聞かないうちに、急いで女性用の楽屋のドアを開けた。
「じゃあ、また後でね…」
ウシオにそう言うと、私は隠れるように楽屋に入った。

