公演終了後。
会場のロビーでみんなで客出しをしていると、
私は見覚えのある顔に声をかけられた。
「あの、すみません…。マユコさんですよね…?」
そう聞かれてはっとした。
フリル使いのかわいらしい服装で私の目の前に立っていたのは、
ウシオの携帯電話に映し出されていた、あの女性だったのだ。
「あ…、はい…。そうですけど何か…」
ドキドキしながら答えると、
女は大きな目を更に大きくして言った。
「やっぱり…!私、ミソノサキって言うんですけど、ウシオがいつもお世話になってます」
いきなり女房面され面食らってしまったけど、
「ああ…、ウシオから話は聞いてました…。彼とお付き合いされてる方ですよね…?」
そう相槌を打つと、
彼女は「はい」とはにかんだ。
「私もマユコさんの話はウシオからいろいろ聞かせてもらっていたんです…。お会いできて嬉しいです」
「あ…、そうですか…」

