今朝はいつもより早く通学した。
いつも早く来る柏田君に、迷わず話し掛けた。

「おはよう。昨日はどうだった?」

どうだった?・・・って、自分で言ってて下品な質問・・・。

「おっ。あいつの家、レストランなのな。

 閉店した店のテーブルで勉強してたら
 渡良瀬のカーチャンがパンケーキと野菜ジュース出してくれて、
 なんか得しちゃったよ。

 しかも渡良瀬のカーチャン、若くて美人でびっくり。」


“そっか。夏恋の部屋に行ったんじゃないんだ。”


「ところで勉強なんだけど、テスト見せてくれたよ。
 泣いてた意味がよく分かった。・・・ま、一歩ずつだな。」



「・・・柏田君、夏恋と話したことも無いんでしょ。
 どうして勉強見るって言ってくれたの?」



“夏恋が好き、とかタイプとか言われたらどうしよう。

 朝イチ撃沈かな・・・。”



「―― だって、本庄の友達じゃん。」

「私の・・友達、だから?」

「そう。」



心の霧が一気に晴れて、太陽が顔を出す――。