「由美子…ありがとう!」

そうだけ言って、私はブランコをこぎ始めた。
何だか少し、スッキリした気がする。
それから1時間くらい由美子と話して、一緒に帰った。


「ただいまー」

「おっかえりー」

空が笑顔で迎えてくれた。


「由美子と何話したの?」

「彼氏できたんだって」

「あぁ、さっきメールきた」

「なんて?」

「"いい事あったんだぁ♪"って。今度はどんな人だった?」

「見た目は…認められないかもしれない。だけど、根はすごく良い人だよ」

「なら、大丈夫かな…」

「うん、絶対大丈夫だよ」



空と私と由美子、そして、今はもういない、由美子の双子の妹、桜子。私たち4人は小さい頃からいつも一緒で、本当に仲が良かった。でも、ある事件が由美子と桜子を引き離した。それから由美子は、桜子の話をあまりしなくなった。その日以来、涙を見せなくなった。他人には言えない、悲しい由美子の過去。

それは、今から3年前の話。



―――
―――――

≪由美子side≫


「ね、由美子」

「なぁにぃ?」

「塾はちゃんと行ってるの?」

「…なんで」

「行ってないでしょう…」

「塾から電話きたわよ。"最近来てないですよ"って」

「めんどくさい、勉強嫌い、大体できないし、やる気の無い私が行ってもきっとお金のムダだよ」

「由美子、高校はどうするのよ」

「まだ先の話じゃん」

「まだ先って言うけ…」

「もういいって!!行かない、やめる」


それだけ言って、リビングにお母さんと桜子を残した。