走って来た時に捨てたはずの温もりが、追いかけて後から後から僕を抱き締める。 余計に苦しくなるのは何のせいだろう? 鳴きたい 泣きたい。 誰か気付いて、こんな僕に。 次に誰かから温もりをもらったら分かるかな? この痛さが何か。 知らなかった気持ちを、本当の幸せを理解することが出来たら良いのに。 そんな考えを甘いと嘲笑するみたいに、雨が余計に酷くなる。 キミが撫でてくれた黒い毛からポタポタと滴が落ちる。 今の僕は濡れて、汚れているから、撫でてなんかくれないかな。